多くの海外FX業者で両建て取引が可能です。
しかし全ての両建て取引が許されているわけではなく、中には禁止行為にあたる両建てもあります。
禁止行為はバレないと思っている方もいるかもしれませんが、ペナルティの対象となり出金拒否や口座凍結のリスクがあります。
この記事では海外FXの両建て取引のメリット・デメリットから注意点を徹底的に解説していきます。
両建てについて理解して、安全にFX取引を行いましょう。
海外FXで両建て取引したい人向けに業者のおすすめも紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。
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海外FXの両建てとは?
海外FXの両建てとは、同一通貨ペアの買い注文と売り注文を同時に保有する取引のこと。
両建てをすると値動きが生じた際に、仮に一方のポジションで含み損が出ても一方のポジションでは含み益が発生します。
◆ドル円の通貨ペアで1ドル120円から値動きにより1ドル123円に上がった時
買いポジション(米ドルを買って円を売る) | 売りポジション(円を買って米ドルを売る) |
---|---|
3円の含み益 | 3円の含み損 |
その結果、含み損を相殺して証拠金維持率をキープできます。
どちらかのポジションを決済しない限り、含み損益をゼロにすることができるのが両建て取引です。
海外FXの両建てのメリット
ここからより詳しく海外FXの両建てについて解説していきます。
まず両建てのメリットがこちら。
- 証拠金維持率をキープできる
- 為替変動による損失を抑えられる
- 税金対策になる
- スイングトレードと組み合わせて利益を狙える
証拠金維持率をキープできる
海外FXの両建ては、証拠金維持率をキープできるメリットがあります。
為替市場において、値動きは一時的なケースが多いです。
一時的な価格変動の場合、価格は元に戻ります。
こうしたケースの際に、両建てをして売買ポジションを同時に保有すれば証拠金維持率をキープできます。
損益の均衡をつくったり含み損を抑えることで、予期せぬロスカットを回避できます。
為替変動による損失を抑えられる
為替変動による損失を抑えられるのも、海外FXの両建てのメリットです。
両建てすると、一時的な価格変動による損失を抑えることができます。
売買ポジションを同時保有することで、証拠金維持率の大幅な減少を抑えてポジション決済を保留にできます。
その結果、相場が上昇傾向になるまで含み損に耐えられる可能性が高いです。
損失を抑えられると、損切りを判断するまでの時間に余裕が生まれるため精神的な負担も軽減することができるでしょう。
税金対策になる
海外FXの両建ては、税金対策になるメリットもあります。
海外FXで発生した損益は、確定申告の対象です。
そのうち収益として計上する必要があるのは、利益確定した収益で含み益は対象になりません。
そのため、前年の12月31日に含み益がある状態で翌年に繰り越せば、課税タイミングを先延ばしにすることができます。
海外FXは稼いだ収益によって税率が変動するため、やみくもに利益確定しているととんでもない額の税金を納めないといけなくなる危険性があります。
両建てをすれば、含み損を抑えながら翌年まで含み益を維持することができるでしょう。
スイングトレードと組み合わせて利益を狙える
スイングトレードと組み合わせて利益を狙える点も、海外FXの両建てのメリットです。
スイングトレードとは、数日から数週間の中期的にポジションを保有しトレンドを捉えてトレードする手法。
チャートを細かくチェックする必要がないため、時間的・精神的に余裕を持ってトレードすることができます。
その一方で中期的にポジションを保有する必要があるため、価格変動によって含み損が発生しやすいです。
そこで両建てを組み合わせることで、含み損によるリスクを抑えることができます。
こうしたスイングトレードと両建て取引の組み合わせは、つなぎ売りやつなぎ取引と呼ばれることもあります。
海外FXの両建てのデメリット
ここからは海外FXの両建てのデメリットも解説します。
両建て取引の欠点とも言える3つのポイントをチェックしていきましょう。
- ロスカットのリスクが上がる
- スプレッドによる損失が発生しやすい
- スワップポイントで損失が発生しやすい
ロスカットのリスクが上がる
海外FXの両建てはロスカットのリスクが上がるデメリットがあります。
両建て取引は、一時的な価格変動で生じた含み損に耐えることができるため、ロスカットを回避するのに有効な手法です。
しかし一方で、複数のポジションにエントリーしなくてはいけないため必要証拠金が大きくなります。
取引に使える有効証拠金に余裕がないと、複数のポジションを保有するのはやや厳しいです。
余裕がない状態で両建てを行えば、必要証拠金に対して有効証拠金の割合が低下してロスカットが発生しやすくなります。
スプレッドによる損失が発生しやすい
スプレッドによる損失が発生しやすいのも、海外FXの両建てのデメリットです。
両建ては、同一通貨ペアの2つのポジションを保有する手法です。
そのため、単純計算で取引コストも2倍になります。
実質的な取引コストとなるスプレッドは、エントリーのタイミングで発生します。
経済指標の発表前やスプレッドが広がりやすい時間帯に両建てしようとすると、余計に取引コストが発生するでしょう。
スワップポイントで損失が発生しやすい
スワップポイントで損失が発生しやすいのも、海外FXの両建てのデメリットです。
スワップポイントとは、通貨ペア間に生じる金利差。
売りポジションの通貨の金利よりも買いポジションで保有する通貨の金利がプラスであれば、プラススワップを受け取れます。
しかし両建ては、2つの同一通貨ペアを保有するため、プラスとマイナスどちらのスワップポイントも発生します。
そのためポイントが相殺され、プラススワップを受け取れません。
また為替変動の特性上、マイナススワップの方が金額が大きくなりやすいので損失が発生しやすくなります。
海外FXの両建ての注意点
海外FXで両建てを行う際の注意点を解説していきます。
海外FXには禁止されている両建て取引もあるので、事前にチェックしておきましょう。
同一口座内での両建ては可能
海外FXの両建ては、基本的に同一口座内でのみ可能です。
同一口座内で両建てをすると、同一通貨ペアの含み益と含み損が相殺され続けるため、口座がマイナスになることがありません。
海外FXでは、口座のマイナス分を業者が補填するゼロカットシステムが採用されており、ゼロカットが乱発されるとそれだけ業者側に負担がかかります。
同一口座内での両建ては、トレーダーによっても業者にとっても不利益になることがないため制限はありません。
禁止されている両建てがある
海外FX業者によって、禁止されている両建て取引があります。
意図せずとも禁止行為に抵触した場合、出金拒否や口座凍結のリスクがあります。
複数の口座間での両建て
海外FXで複数の口座間での両建ては禁止されていることがあります。
海外FX業者の多くは、1アカウント内で複数の口座が開設可能です。
複数の口座間で両建てをした場合、一方で含み損がかさんでゼロカットシステムが発生すると、一方の含み益がそのままトレーダーの利益になります。
そのため、ゼロカットシステムを狙った両建て行為を業者は禁止しているんです。
明確に禁止とされていない業者でも、複数の口座間で両建てを行うとゼロカットの対象外となる場合があります。
別業者との両建て
海外FXで別業者との両建ても禁止されていることが多いです。
こちらもゼロカットシステムを狙って、一方の業者で買いポジション・一方の業者で売りポジションを保有することで利益を狙うことができます。
同一業者内での両建てへのペナルティに対して、複数業者で両建てを行った場合は2つの業者でペナルティを受けることになります。
ボーナスを使ったの両建て
ボーナスを使った両建ても、海外FXで禁止されていることが多いです。
海外FXが独自に提供するボーナスは、有効証拠金とは異なりクレジットとして取引に使うことができます。
そのため、ボーナスのみを使って両建てをすれば資金を使わずに利益を狙うことができます。
しかしこの両建て取引もゼロカットシステムを悪用する手法のため、ペナルティを受ける可能性が高いです。
禁止されている両建て行為がバレるとペナルティが発生する
「禁止されている両建てをしてもバレないのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、取引の際に利用するプロパイダーやMT4・MT5などのプラットフォームを通じて高確率でバレます。
もしバレれば、出金拒否や口座凍結などのペナルティが課せられます。
両建てを行う際は、必ず業者が決めた両建てルールを守りましょう。
同一口座間の両建てならどの業者でも可能です。
海外FXの両建ては本当に節税できる?
海外FXの両建てを活用すれば、節税効果が期待できます。
実際に節税のために両建てを活用するトレーダーもいるため、ここでは両建てによる節税の仕方を解説していきます。
含み益があるケース
含み益がある状態で両建てをすることで、利益を翌年の決算に持ち越すことができます。
海外FXは稼げば稼ぐほど税率が上がります。
しかし未決済のポジションは、課税対象ではありません。
両建てをすれば、課税対象となる金額をコントロールして税率を抑えることができます。
含み損があるケース
含み損がある状態で両建てをすることで、翌年の利益と相殺できる損益繰越ができます。
まず、本年の利益額とそれに伴う税率を把握しましょう。
その上で、含み損を持つポジションを決済しても税率が変わらない場合は両建てしてポジションを翌年に持ち越すのがおすすめ。
翌年の税金を抑えることができるかもしれません。
含み益・含み損どちらもないケース
含み益・含み損どちらもない状態で両建てをすることで、損益確定を早めることができます。
税率計算の対象となる収益を概算した上で、「これ以上稼ぐと税金が高くなりそう」と判断した場合に両建てで損益のコントロールが可能。
早く損益確定ができれば、その分節税が期待できます。
海外FXで両建てをする方法・必勝法
海外FXで両建てをする方法・必勝法を解説します。
まずは、同一通貨ペアのポジションを保有しましょう。
- 下落気味の通貨の売りポジションを保有する
- 上昇に転じた際に買いポジションも保有する
- 含み損を抑えながら次の戦略を決める
以上の流れで両建てを行えば、損益をコントロールしながらFX取引を行うことができます。
ただしあくまでFX取引は流動的に相場が変動するため、両建てをすれば必ず損失を抑えられるわけではありません。
取引コストの拡大や十分な資金の確保が必要などデメリットもあるため、欠点のない手法とは言えないのが正直なところです。
両建て取引に向いている海外FX業者
最後に、両建て取引に向いている海外FX業者を紹介します。
主に両建てルールを基準に3つの業者を選びました。
AXIORY
同一口座内での両建て | ◯ |
---|---|
複数の口座間での両建て | × |
別業者との両建て | × |
ボーナスを使った両建て | × |
最大レバレッジ | 2,000倍(マックス口座) |
ロスカット水準 | 0%(マックス口座) |
ボーナス | ‐ |
AXIORYは、同一口座内での両建てのみ可能な海外FX業者です。
最大2,000倍のレバレッジとロスカット水準0%の取引環境で、両建てを使いながらダイナミックな取引を行えます。
ただマックス口座以外の口座タイプはロスカット水準20%に設定されています。
片方の取引で強制ロスカットが生じた時点で両建ては解除され、有効証拠金が必要になるので注意しましょう。
TitanFX
同一口座内での両建て | ◯ |
---|---|
複数の口座間での両建て | ◯(ゼロカット対象外) |
別業者との両建て | ◯(ゼロカット対象外) |
ボーナスを使った両建て | ◯(ゼロカット対象外) |
最大レバレッジ | 1,000倍(Zeroマイクロ口座) |
ロスカット水準 | 20% |
ボーナス | ‐ |
TitanFXは、両建て取引可能な海外FX業者です。
多くの業者が禁止する複数の口座間や別業者との両建ても可能となっています。
しかしゼロカット目的の両建て行為は、ゼロカット対象外になるため注意しましょう。
両建て可能で、運営実績が長く信頼性の高い業者を選びたい方にTitanFXは向いています。
Tradeview
同一口座内での両建て | ◯ |
---|---|
複数の口座間での両建て | ◯ |
別業者との両建て | ◯ |
ボーナスを使った両建て | ‐ |
最大レバレッジ | 500倍 |
ロスカット水準 | 100% |
ボーナス | ‐ |
Tradeviewは、両建てルールに制限がない海外FX業者です。
複数の口座間や別業者との両建ても可能で、ゼロカットシステムに関する注意も特にありません。
ただロスカット水準が100%と高く、両建てによるロスカットのリスクがかなり高いのが難点です。
海外FXでも珍しい信託銀行で顧客資金を管理しており、トレーダーの安全性を重視している業者と言えます。
海外FXの両建てまとめ
海外FXの両建ては、一時的に証拠金維持率をキープするために有効な取引方法です。
また節税目的で年末に向けて両建てを行うのもいいでしょう。
ただし、十分な資金を確保できていないとロスカットのリスクが上がったり、取引コストがかさみやすいというデメリットもあります。
なので、あくまでもいざという時に使える手法くらいの認識で覚えておくのがいいでしょう。